1日目

2004. 7.28

 

 

旅のはじまり

朝、3:30起床。横浜市内から始発の電車で上野へ。のりかえ1分。それらしい人達と、走る。
以前、予行演習をしておいたので5:10の宇都宮行きに何とか間にあう。その2本あとの電車でも福島でいっしょになるのだが。

今回、初めて”青春18キップ”なるものを買った。普通列車、1日乗り放題、乗り降り自由が5日分で1万1500円。年令は関係なし。自動改札は通れない。朝、駅で日付のスタンプを押してもらう。あとは見せるだけ。

なぜ普通列車かというと、移動も旅のうちとして楽しみたかったのだ。
新幹線で朝のうちに仙台へ着いちゃったら、遠くへ行きたい心が満たされない。

今月号の時刻表も、日程別にカラーの付箋をはったので、とても見やすくできた。
前のページと次のページをメモしておいたので、パッと開ける。

と、ボチボチ宇都宮、6:51着。乗り換えで6:58発、黒磯行きへ。
うー、喫煙所、見当たらない。
黒磯には7:48着。福島行きは7:55。途中、郡山で21分停車。
やれやれ、トイレとタバコをすます。

   
ふと気づくと、引込み線に何と仙石線の車両が止まっているではないか。回送で。
仙台の電車がなぜ郡山に?
散歩がてら近くのホームまで行き、とりあえず写真をとっておく。

側面に”SENSEKI LINE”が書かれているこのオリジナル車両は、どうも引退したヤツらしい。

ちなみに、乗った東北本線は2両編成。ドアーは手動である。
自分でドアーボタンを押して乗る。駅停車中、開けたら閉める。
開、閉のボタンつき各車両には今回の移動中、ずっとお世話になった。

駅員も客もいないホームでドアー全開にするムダがなくて非常に合理的である。
冷房もきいている。

オリジナル、仙石線車両
 


のどかな田園風景を見ながら福島に着いたのが10:08。次は11:00発仙台行き。何と、52分もある。そこで、朝買ってきた赤飯おにぎり1コを食べる。
これで朝、昼おわり。ベビーサラミとミルクキャンデーも口にしたが。ペットボトルの水とミルクコーヒーも持参している。

のんびり福島駅構内を散策するうちに、”ままどおる”を発見。
このお菓子はとってもおいしい。帰りにも寄ってみよう。
やっぱり早めの電車に乗ってよかった。

そうこうするうちに11:00。やっと仙台行きが出発する。
約1時間半ゆられて12:37仙台着。今日、ここではゆっくりせずに仙石線(せんせきせん)へ。

長いエスカレーターで地下のホームへ。12:59発、石巻行きに乗る。
郡山で見たオリジナルな車両とは全然違って、普通の電車だった。

いくつか地下駅を過ぎた所で、地上へ出る。すっごくいい天気。

東北本線、福島行き
 

松島四大観(まつしましたいかん)

松島の手前、本塩釜で降りる。1:25。おりしも、台風10号が来ている。
”天気と時間は金では買えない”とばかりに、思いきってタクシーの運転手さんと
交渉する。”すみませーん、実車ではなく、観光で松島四大観を回って、野蒜(のびる)で降ろしてほしいんだけど”、”キョリ走るよー。で、予算は?”、”1万円。”、”ンー、とりあえず、メーター1万円の所までは、いれるけど、そのあとはつけないから、それで行きましょう”という事に。(だいたい相場かも)

まず手近の多聞山(たもんざん)へ。炎天下、歩いて行かなくてよかった。やっぱり地元のタクシーで行くのがスマートで確実。
駐車場で運転手さんからビューポイントの説明をうけて、早速登る。
少々のアップダウンのあと、話にきいた”お堂”を発見。その裏が良いそうだ。

”オー、来て良かったー”。素晴らしい眺め。ついに松島へ。下にちょうど遊覧船も通っている。大小様々な島がいっぱい。白砂青松。9時間、電車にゆられて来たかいがあった。やっと会えた。

多聞山から松島湾
 
待ってもらっているので、写真をとったら急いで引き返す。
あと3か所。松島四大観とは、松島を展望する、有名な4か所だそうだ。
明日の天気はわからない。行っけぇ〜。

次は松島海岸駅の方まで走る。けっこうオモロイじっちゃんで、釣りの話とかでもりあがる。よかったー。

そうこうしているうちに、扇谷(おうぎたに)。ここも駐車場から少々歩く。
辿りついた展望台からは、さっきの多聞山も見える。また違ったおもむきの風景。

扇谷から
 
それから松島海岸駅前のチマチマしたメインストリートをぬけ、富山(とみやま)へ。ここはそれほどの眺めではないそうだが。

車を降りて杉木立のうっそうとした中、長いつづらおれの石段が続く。
カナカナのような音ばかりがいっぱいにシンクロして、なんか幽玄な空間だ。
明治天皇も来られたそうだ。

やっと展望台に着く。んー、登ったかいがあった。もう、汗だく。
かなり印象深い所だ。

下り、こんなにあったかと思うほど、石段を下る。よく一気に登ってきたもんだ。
富山から
 

あとは最後の大高森(おおたかもり)へ。
けっこうキョリあるし、予定していた電車の時間もせまっている。
メーターはとっくに1万円で止まっている。運転手さんにも悪いと思い、ここで引き返そうかと口にしたら、せっかく来たんだから、行ってくれると言う。
ま、遅れたら宿には電話すればいいか。

釣った魚料理の話でもりあがっているうちに、やっと大高森の入り口へ到着。
ほぼ水際の駐車場から、105mの山頂へ。さすがに休み休み登る。

着いた頂上からは、素晴らしい奥松島の眺め。風がとっても気持ち良い。
牡鹿半島の方まで見える。やっぱり来てよかった。運転手さん、ありがとう。
山をおりてきたら、ひなたの駐車場なので、後のシートに新聞紙を広げておいてくれた。んー、そういう心遣いって、いいね。

そして野蒜駅へ。約2時間半、お世話になった。料金の1万円と、別に気持ちとして2千円、渡した。とても喜んでいた。公休出勤だったそうで、ご苦労様。

大高森から
 

霧の女川(おながわ)へ

電車には充分時間があったので、一服してミルクコーヒーをガブ飲みする。
野蒜16:20発、石巻16:46着。ものすごくうるさい石巻線で17:02発。
古き良き時代の”電車”ってカンジで重そう。車体の下で何かグルグル回っているのも見える。動きもすごく重々しい。

途中、でっかい入り江になっている万石浦(まんごくうら)が、とってもステキだ。
そのうち、だんだん雲行きが怪しくなってきた。トンネルを抜けて終点の女川駅に着いた時、町は濃霧の中。さっきのカンカン照りはどこ。

旅行代理店でもらった地図を片手に、今日の宿をさがす。ちょっと港もまわってみたりして。ない、ない、どこにも見あたらない。こんな小さな町で、おもいっきり、まいご。
”私はどこ、ここはだれ”状態。ついに人にきく。”駅へ戻りなさい”と。
半信半疑で戻る途中、雑貨店のおネエさんに再びきいたら、女川の地図をくれて、
とても親切に教えてくれた。何と、目指す宿は駅のウラ。ありがたく、すぐに到着。
宿で訳を話して、そのまちがい地図を渡した。代理店に連絡するそうだ。

万石浦(カキの養殖をしている)
 
宿は、かのまたや旅館。1人なのに、普通の広い部屋。3階建ての3階のはし。
予約順か?空調が効いていて、ちっとも海のニオイがしない。
夕食を7:00に頼んで、さっそくフロへ。誰もいなくて、貸し切り状態。
露天ではないが、思いっきり窓があいているので、気持ちいい。
お湯も熱すぎない。2種類ある。
今日は、かなり汗だくになったので、着ていたものを自室の洗面台で全て洗う。
お湯も出るから、有り難い。しぼりにしぼって、干す。連泊のいいところ。

部屋食なので、7時ちょっと前、待ちに待った夕食が運ばれてきた。
大きなトレーに、それこそテレビで見るようなごちそうがズラリ。
”うわー、1人で食べきれるかなー”とか言っているうちに、もう1枚、同じ大きさのトレーでテーブルにおいしそうな品々が並ぶ。一体、どこから手をつけてよいものやら。お礼を言ってから、とりあえず缶ビールでカンパイ。たのんだお銚子2本のうち、1本は宿からのサービスでタダ。海鮮シャブシャブと焼きホタテの火かげんを見ながら、ウニをいただく。やっぱり、スーパーのとは違って、とろける美味しさ。
みんな、とってもおいしい。ありがたや。
ゆっくり腹ごなしをして、身も心も満ち足りて眠る。